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大貴side
慧「大貴、今日は何月何日だっけ、」
大貴「今日はね10月1日。カレンダー変え忘れてたね。ごめんごめん。」
慧「そうか、10月1日。」
父さんは胸ポケットからマジックペンを取り出して、まだ昨日の記憶が薄らと遺された自らの手に今日の記憶を重ねる。
いやでも目にする自分の体は父さんにとって最高のノートであることは分かっていた。
しかし、消えかけの昨日に重ねられた黒い色はどんどん父の体を蝕んでいく病をそのまま見ているようで俺は悔しくなるばかり。
朝は慌ただしいからか、忘却力が強さを増す。
自分がコーヒーを淹れた事を忘れて、もう一杯カップに注ぐ。
バターを塗ったトーストにもう一度、バターを塗る。
歯磨きは2回するのがもう当たり前。
父さんの曇った顔が見たくない俺は、もうそれやったでしょなんてこと言いたく無くて。
だからほんとは苦手なコーヒーを俺も啜って、バターは買い物の時少しばかり体に気を使ったものを選ぶようにした。
慧「あ、そうだ日付確認しなくちゃ。えーっと今日は、」
大貴「今日はね10月1日だよ。」
慧「おお、ありがとう。じゃいってきます。」
大貴「気をつけてね。いってらっしゃい。」
俺には何度聞かれても、答えるくらいしか出来ることが無かった。
それで父さんの心が少しでも陰らなくて済むのなら。
俺は何度だって、答えた。
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朝光 - 初コメ失礼致します!群青のパスワードをお教えして頂きたいのですがよろしいでしょうか? (2022年3月7日 23時) (レス) id: 13ebdf4ed8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2021年9月30日 15時