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光side
2人で場所を移動してきたのは、初めて2人で食事をしたファミレスだった。
食事は頼まず、ドリンクバーを。
注いできたジュースも重たい雰囲気の中で飲む気になれない。
2人を繋いできたリングノートを間に置くと、いのちゃんはゆっくりと筆をとった。
『おれ、びょうきなんだ』
ゆっくり書かれたひらがなは以前見たものと打って変わって弱々しく震えていた。
あのでかでかとした筆圧の高い字の面影は何処にもない。
『筋肉が、しんでいく。だからもう早く文字書けなくて、光の前からいなくなった。ごめん。』
『ノートテイカーできないおれなんて、ひかるのそばにいらない。』
いのちゃんはその後も時間をかけながら、2人のリングノートに文字を連ね続けた。
休んでいいよ、とノートをこちらに引き寄せてもいのちゃんは、首を力なく振って抵抗した。
『ひかると会う前から、びょうきはわかってたけどしんこうが早くなったのはさいきんのことで。』
『ノートテイカーなんてできなくなることわかってたのに、まだこんなじぶんでもだれかの役にたてることがうれしかった、』
『だからかけなくなったとき、しょっくで、ひかるにあわせるかお、なくて』
『めいわくなるだけだからにげた』
いのちゃんはそこまで書いてペンを置いた。騒がしい昼間のファミレスで俺たちだけが声を出していない。
俺は俺たちの過去を巻き戻すようにノートをはらりはらりとめくって、出会いの季節まで遡った。
『聞こえないことが迷惑だなんて誰が決めたの？誰かに言われたの？』
あの日、いのちゃんが僕に差し出したその字を。
俺はそのまま彼の視界に滑り込ませた。
その意味に気がついた彼は、堪えていたものが崩れていくように体の力がぬけて、机に伏せた。
かつてみた「笑い声」とは異なる、弱々しい肩の震え。
彼の「泣き声」を初めて聞いた。
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のぞみん - リクエストいいですか？7が患者でBESTが医者役、知念君が抗がん剤で苦しむみたいなのがいいです。無理言ってすみません。これからも応援してます。 (2022年8月1日 3時) (
レス) id: e9f6dca195 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - nanaさん» お返事遅くなってしまってごめんなさい🙇♀️ご愛読ありがとうございます☺️とても嬉しいです…！これからも是非よろしくお願い致します。 (2022年2月9日 20時) (レス) @page21 id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
nana - あむさんの小説、全て読みました。表現が大好きで何回も読んでいます。これからも応援しています (2021年12月14日 17時) (レス) @page18 id: 01909af102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あむ
| 作成日時：2021年9月24日 16時
