Want to live. XIII

籠の中の鳥 ページ19

涼介(4)慧(25)親子設定


慧side



慧「こら、涼介〜！吸引するよ、こっちおいで。」



涼介「きゃぁぁっ！やだぁ！やらないっ！」



慧「ちょっともう……逃げないのー！」




4歳になる息子の涼介。



気管切開をしているからこまめな痰の吸引が必要なのだけれど、発声が上手くできるようになってからそりゃまあイヤイヤ盛り。



まだ空気が漏れ出す感じがあって、出しづらい言葉もあるけど、大体はマスターした涼介。親として喜ぶべきことなんだろうけど、嫌がられ、逃げ回られるのは困ります。



慧「よいしょっ、捕まえたっ！ほーら、ぜこぜこしてるじゃん。早くやっちゃお？」



涼介「えぇ〜くるしくしない？」



慧「しないよぉ、だってぱぱ上手でしょ？」



涼介「頑張ったらおさんぽぉ？」



慧「うー、んん、まぁいっか。お散歩。」



涼介「やった！じゃあやる！」



要らぬ注文まで引き受けてしまった気がするが、乗り気になったうちが勝負。



道具一式が入ったバッグを急いで持ってきて、涼介に向き合う。



何度やっても緊張するこの流れ。喉元に空いた穴は涼介の命に深く関わる大切な場所。丁寧に扱わなくてはならない。




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