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光(18)慧(18)※死ネタ
『』→筆談
光side
俺たちの出会いは、大学の大講義室。
シラバスをよく見ないで受講をしたら、広い講義室が殆ど埋まるくらいの人気講義だった。
生まれつき耳が聞こえにくい俺は、高校まではずっと聾学校に通っていて大学からいきなり飛び込んだ健聴者の世界。
突然にハードルの高い講義を取ってしまったことを酷く後悔した。
そんな俺の不安も教授はつゆ知れず。
突如言い渡されたグループでの課題制作からの発表。
田舎から出てきて知ってる顔など1つもない。それにこんな地味で眼鏡で、耳にいかにも「聞こえません」と示す機械があるせいで誰も近寄ってきてくれはしない。
親や友人の反対を押し切ってまで健聴者の世界になんて来なきゃよかった。
聞こえないなりの、ひっそりとした生活が俺には似合ってた。
…もうこの授業の単位は諦めよう。
皆がグループを作ってわいわいする傍ら、そっと講義室を出ようとした時だった。
とんとんっと肩を叩かれて振り返るとそこには同じくらいの背丈の男の子が立っていた。
「誰もいないなら、俺と組まない?」
凄く嬉しかった。俺なんかに手を差し伸べてくれる人がいたこと。でも眩しい笑顔を見て申し訳なくなったのも事実。
俺は急いで、リングノートを取り出してさらさらとボールペンを走らせた。
『誘ってくれてありがとう。でも、俺は耳が殆ど聞こえません。君に迷惑はかけられません。』
ノートを見せると、文字を読んだ後に俺の手からノートとボールペンを抜き取った。
『聞こえないことが迷惑だなんて誰が決めたの?誰かに言われたの?』
言われたことなんて無いけど、やはり聞こえる世界に住んでいる人にとっては足手まといだと思う。俯くしかなかった。
けれど、俺にノートを差し出して顔を覗き込んでくる彼。
その威圧感に、俺は首を左右に振った。
『じゃあいいじゃん。きまり。俺の名前は伊野尾慧。』
これが俺といのちゃんのはじまり。
俺の世界が開けた日。
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のぞみん - リクエストいいですか?7が患者でBESTが医者役、知念君が抗がん剤で苦しむみたいなのがいいです。無理言ってすみません。これからも応援してます。 (2022年8月1日 3時) (レス) id: e9f6dca195 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - nanaさん» お返事遅くなってしまってごめんなさい🙇♀️ご愛読ありがとうございます☺️とても嬉しいです…!これからも是非よろしくお願い致します。 (2022年2月9日 20時) (レス) @page21 id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
nana - あむさんの小説、全て読みました。表現が大好きで何回も読んでいます。これからも応援しています (2021年12月14日 17時) (レス) @page18 id: 01909af102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2021年9月24日 16時