カラフル (ページ48)

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侑李side

〈侑李、お風呂沸いたよ。〉

侑李「僕、後で入る。今日は母さんがにーちゃんのこと入れて。」

〈……侑李。どうしたの？…ん？〉

〈母さんにも言えない、？〉

ベッドでふて寝する僕の元へと優しく歩いてきて、そのまま腰掛けた。

壁の方を向いている僕の背中をゆっくりゆっくり撫でてくれた。

〈侑李が教えてくれなきゃ、私も分からないよ。……慧はもっと、わからない。〉

〈母さんが侑李に慧のこと任せきりなのは分かってる。だから距離を取りたくなる日があるのも当然。親の私だって最初は慧といる事が不安だったし。〉

〈侑李が居てくれたから、私も慧と向き合えるの。ありがとうね、いつも。〉

母さんはにーちゃんを遠ざけた僕を叱るどころか、温かく包み込んでくれた。

そのたまらないくらいほかほかな温度に、思わず堪えていた涙がベッドを濡らす。

〈侑李は優しいから、溜め込みすぎちゃったね。ごめんね侑李。〉

侑李「……っ、ちがうの、…ぼくがおかしいんだ、」

「にーちゃんのっ、…成長をこころから喜べない….」

「……にーちゃんを…そういう目で見てるのは…っ…ぼくなのかも、…さいてーだぁっ、…ぅっ、」

守ってあげなきゃとか一緒に居てあげなきゃとか使命感に駆られるうちに、にーちゃんは冷たい目で見られていると決めつけて。

他の人と違う、と僕が一線を引いていたのかもしれない。

1番汚いのは僕だ。にーちゃんを信じることが出来ていないのは僕だ。

〈そんなことある訳ないでしょう。侑李が慧の事をどれだけ信じてくれているかは母さんがいっっちばんよく分かってる。〉

〈慧は侑李といる時、とても嬉しそうで楽しそうで他の誰にも向けない顔をする。侑李しか見れない慧の顔があるでしょう。〉

侑李「ぼくしか、みれない…顔？」

〈………お兄ちゃんの顔。〉

侑李「お兄ちゃんの顔、」

〈さっき、夜ご飯のとき侑李がお行儀悪いって慧のこと叱ってくれたでしょう…？〉

〈あれは侑李がいつもと違うのを感じて、おかずを分けてあげようとしたんだと思う。…その時慧は多分その顔をしてた。〉

にーちゃんは、僕に置いてけぼりにされても冷たくされてもお兄ちゃんで居てくれたんだ。

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