カラフル (ページ37)

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侑李side

その後もずっと母さんは、疲れた顔一つせずにーちゃんや僕と向き合ってくれた。

　

にーちゃんと歌を歌って(どちらかと言えばエンドレスに母さんが歌わされていた)、少しお勉強して。

僕のテストを見せたら沢山褒めてくれて、部活の話も聞いてくれた。

母さん、と呼べばいつだって優しく「なぁに？」って振り返ってくれる。

僕たちはとても大切にされている、ということが今日1日を通して凄く良く分かった。

慧「……ふぇぇ、……ぇぇん、」

侑李「どした、にーちゃん。」

そんな楽しい1日ももう終わりの時間。また明日が来たら、母さんは忙しく働きに出る。

〈慧、眠いんでしょ。今日沢山遊んだもんね。〉

夜8:00。歯磨きを終えた途端に洗面所にしゃがみ込んで、泣き始めたにーちゃん。

慧「…ぅぇぇっん、…ぇーん、」

〈泣かなくていいよ。ベッド行こう？〉

眠くなったにーちゃんは母さんの首に巻きついて抱っこをせがんでる。

〈えー、行けるかな。〉

侑李「ちょっと、腰やらないでよ。」

〈慧、ちゃんと捕まってよ？…せーのっ、わー、やっぱり軽いよあんた。ちゃんと食べなきゃ駄目ねー。〉

軽いとは言え、成人に近いにーちゃんの体を持ち上げるのは相当な負担なはず。

よろよろしながら歩く母さんを僕もちょっぴりサポートしつつ、寝室に到着。

ベッドの上でも母さんにくっついたまま、ゆらゆら揺られるにーちゃん。

もう、夢の中かな。

〈少し早いけど、侑李も一緒に寝よ？久しぶりに3人で。〉

侑李「…うん！」

照明が夕焼けみたいになった寝室に、溶け込むような母さんの子守唄。

昔から大好きな母さんの歌声。繊細だけど芯のある声が僕のことも眠りに誘う。

母さん、なかなか言えないけど。

だいすきだよ。いつもありがとう。

「ゆるしいろ」/ end

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