カラフル (ページ31)

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裕翔side

その後3時間目の始まりから少し遅れて教室に戻ってきた慧くん。

保健室でイヤーマフを渡されて、それをつけて貰ったらしい。

大貴くんはお弁当の時間にごめんねする、と約束してくれた。

だから今はまだ少しお互いに心を落ち着ける時間。

慧くんを見てくれた先生にお礼を言って、そのまま席に誘導する。

きちんと切り替えられたのか、落ち着いてドリルに向かってくれている。

暫く、チクタクと時計の秒針が響いていた教室。

しかし、ガシャンと大きな音がして振り返れば、大貴くんの机から鉛筆が散らばって床に転がってゆく。

裕翔「っ、大貴くん！」

もう1つ、大貴くんが抱えているもの。
それはてんかんだ。時間場所を選ばないその病気と長年闘っている。

力が抜けた大貴くんは、机にもたれて涎を垂らしている。

裕翔「大貴くん、体楽にしようね。そのまま下におろすよー。」

大きな発作が始まる前に、椅子から下ろして床に横向きに寝かせる。

裕翔「タイマーお願いします！」

補助の先生もすぐにストップウォッチを起動させてくれて、時間を計る。

周りの机を軽く退かしつつも、しっかりと気道は確保。

裕翔「早く良くなれー、大丈夫だよ。先生いるからね。」

震える体を摩って、早く終わりがくるように祈る。

大きな震えは次第に収まり、ゆっくりと落ち着いていった。

裕翔「よかった。お疲れ様、大貴くん。」

まだ朦朧とした意識の中だけど、僕の言葉に微かに頷いてくれる。

体は起こせそうにないけれど、これならもう大丈夫だ。

あとは意識の回復を待つだけ。

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