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裕翔side
裕翔「慧くん、今日は靴脱げるかな〜」
侑李くんから聞く限り、今日はおねがいモードらしいけどね。
ぺりぺりっ、
マジックテープがゆっくり剥がれる音が聞こえた。
脱ぐのには手こずっているみたいだけど、なんとか出来たみたい。
裕翔「やったね、慧くん!タッチ!」
「…んー、それはダメか笑」
手を差し出す僕を前にして、首を傾げてからそのまま上履きを履いて横をすり抜けていった。
裕翔「待って〜慧くんー!」
いつもと変わらない朝。ちょっとのスルーは日常茶飯事。
もう慣れた様子で教室まで歩いていく慧くんを早歩きで追っていく。
そして、慧くんがドアを開けた次の瞬間。
「…えー!だれー!」
突然聞こえてきた大きな声に、慧くんはびっくりして耳を塞ぐ。
そうだ。まだ話してなかったな。新しいお友達のこと。
裕翔「少し、びっくりしたね。今日からクラスに加わった大貴くんだよ。」
慧くんの背中を摩りながら声をかけていると、大貴くんが席からぴょこんと立ってこちらにダッシュ。
大貴「ぼく、だいちゃん!!ねー、だれ?」
〈大貴くん、お友達がびっくりしちゃうよ。〉
僕のクラスの補助の先生が慌てて大貴くんの元に。
大貴くんはもともと他のクラスでお勉強していた子だったんだけど、そのクラスではあまり相性の良くない子がいたらしく。
パニックが続くようだったので、僕のクラスに移動してきたんだ。
大貴「だいちゃんね、あさ、バスのったよ!」
慧「……んぅんーっ、……ん、」
大きな音が苦手な慧くんは、完全に大貴くんの声に顔を顰めていて、イヤオーラが全体に滲み出ている。
裕翔「大貴くん。大きな声は皆、びっくりしちゃうよ。教室では1か2の声でお話だよ。」
大貴「そっか、だいちゃん、わすれてた!」
はっ、と口を押さえてしょぼんとする大貴くん。
裕翔「大貴くん、この子は慧くんだよ。大貴くんよりも4つお兄さん。大きな音は苦手だから、優しくお話しようね。」
大貴「よっつもおにーさん!?すごい!」
慧「……ぅーーーっ、!!……」
裕翔「あぁ…大貴くん、声…」
出だしはかなりの大コケスタートですが。
2人は仲良くなれるのでしょうか……。
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作者名:あむ | 作成日時:2021年9月1日 13時