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侑李side
とは言っても、僕だってやる事ある。
働きに出てくれる母さんの為に家事はきちんと手伝わないといけない。
庭の鍵をしっかり閉めたのを確認してから、洗濯物を干しに向かう。
まだにーちゃんはぺたぺたと足音を立てながら歩きまわっている。
侑李「僕、お洗濯してくるからね。」
一応にーちゃんに声をかけてから、ハンガーに洗濯物を吊るしていく。
この前買ったばかりのにーちゃんのロングTシャツ。
もう首のところがよれよれだ。絶対噛んだよね。
また僕が新しいのプレゼントしてあげよう。
そろそろ秋がくる。にーちゃんが好きなセーターの季節。
何をするにもにーちゃんのことばっかり考えてる僕。僕がにーちゃんを好きで居られるように育ててくれた母に感謝だな。
家族3人分の洗濯を干し終えて、リビングに戻る。
侑李「っ、にーちゃんいない、」
リビングの何処にもにーちゃんの姿が見当たらない。そんなはずない、玄関も庭への入り口も閉めたはず。
僕は背中がぞわぞわとする感覚を押さえ込みながら、リビングを一周。
侑李「…にーちゃん！！」
するとソファの肘掛けの所ににーちゃんがへたりと座り込んでいた。
慧「……っ、うぇっ……っ、…ひくっ…」
かなりの量嘔吐している。やはり、朝から具合が良くなかったんだ。
侑李「にーちゃん、大丈夫？ごめんね、遅くなって、」
にーちゃんは潤んだ瞳で僕を見上げて、眉を下げた。
侑李「……っ、怒ってないよ。怒ってない。」
その表情が指し示す感情を僕は知っていた。
「ごめんなさい」だ。
しんどかったのに、吐いたら怒られちゃうと思ってわざわざ洗面所から見えない所で小さくなって吐いてたんだ。
僕は急いでビニールを持ってきてにーちゃんの口元に当てがった。
侑李「いいよ。僕持ってるよ。」
力が入っていない手で受け取ろうとするものだから慌てて制した。
その後もにーちゃんは僕が来て安心したのか、何度か嘔吐してしまった。
侑李「にーちゃん、大丈夫。立たなくていいよ？しんどいでしょ？」
吐き終えると、ふらふらしたままの体で立ち上がろうとする。表情が「ごめんなさい」のままだった。
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作者名：あむ
| 作成日時：2021年9月1日 13時
