カラフル (ページ12)

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侑李side

侑李「っ、にーちゃんっ…ぼくだよ、もう平気だからね。」

慧「…んーっ、…んーっ、…んっ…」

侑李「大丈夫大丈夫。もうおっきい声出す人いないよ。僕だけ。怖かったね。」

自転車の上に倒れたであろう、にーちゃんは手の甲が青く腫れ上がっていて怪我をしている。

そして何時間もこの暑い中を歩き回って居たからか、頬も紅潮し火照っている。

額に手を当てると、相当体は熱くなっていた。

そして裸足で飛び出してきた故、足の裏は傷だらけで、熱いコンクリートで火傷状態。

見るだけでも痛々しいにーちゃんに僕は更に不安になる。

極め付けには、大きな目眩症状を起こしていて僕が支えても立ち上がれない程に弱っていた。

結局僕1人では無力すぎて、何もできない。

情けないながらも、泣きながら母に電話をかけた。

母は直ぐに家から離れたここまで、車で向かってきてくれるみたいだ。

侑李「ごめんね、っ…にーちゃんっ……」

何とか引きずって日陰まで移動してきたが、まだにーちゃんはぼんやりしている。

水筒の水も上手く飲めなくて、にーちゃんのお気に入りのセーターがみるみる濡れていく。

だいすきなにーちゃんがいなくなってしまいそうで僕は更にぼろぼろと泣いた。

慧「……〜っ…ん………ぁ……」

すると、にーちゃんは壁に体を預けながらも僕の頬に手を伸ばしてそっと涙を親指で拭ってそのままぺろりと舐めとった。

僕はいつの日か母が言っていたことを思い出す。

にーちゃんは話せなくても、理解している。

この子にも分かること、伝わることは十分ある。

そんな言葉。

今、にーちゃんが伝えようとしてくれてる言葉はきっとこうだ。

「もう、泣かないで。大丈夫だから。」

穏やかな表情で僕を見るにーちゃんは、間違いなく僕の自慢の兄だ。僕という弟を守ってくれるお兄ちゃんだ。

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