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大貴side
結局、伊野尾くんは俺を保健室まで送り届けてくれて。
丁度、先生が居なかったので俺の替えの服を持ってきてくれたり口を濯ぐ手伝いをしてくれたり。
交わす言葉は無いけれど、伊野尾くんは俺のために全てをテキパキと処理してくれた。
慧「顔色が悪い。少し横になった方がいい。」
そのまま俺をそっとベッドまで支えてくれた。
大貴「……まって、伊野尾くん、！」
帰ろうとした彼の制服の裾を咄嗟に掴んだ。
大貴「……ありがとう。本当に何から何まで。…助かった。」
彼が居なかったら、今頃俺は最悪な事態に巻き込まれていた。
慧「……悪かった。さっきは、言い過ぎた。」
「俺と重なったんだよ。……弱い自分と。」
伊野尾くんはそっとベッドに腰掛けた。
そして制服の袖をまくり上げる。現れたのは白い腕に一際映える何本もの傷跡だった。
慧「……きもい、でしょ。」
その何本もの傷跡はどうやってつけられたものかは、疎い俺でも理解できる。
慧「俺、親から拒絶されて育ったからさ。少しでも心配して欲しくて初めたの。」
「……そしたら、抜け出せなくなった。」
「こんな傷跡ある奴に近づきたがらないし。……居場所、本当に無くなったんだ。」
「だからこそ、俺は人を拒絶する奴は嫌い。そう言う事にはちゃんと言葉で伝えられる人でいたい。」
袖を直しながら、伊野尾くんは遠くを見つめている。彼の瞳は今何を捉えているのか、全く検討もつかない。
大貴「……俺は気持ち悪いなんて思わない。そうやって逃げ道作りたくなる気持ち、理解できるから、」
俺もかつては、もう消えてしまいたいとそう言う思考に陥った事がある。
そうやって、自分の存在を物理的に試したくなることは俺もあった。
さっきまでは、冷酷な嫌な奴だった彼。
でも今は違う。彼は、誰よりも人の痛みが分かる温かい人だ。
大貴「俺たち、友達になろうよ。」
慧「……君まで避けられる事になるよ。」
大貴「独りじゃないなら何だっていいさ。俺たちきっと合うよ。」
慧「……ふふっ、のったよ。」
大貴「…いい顔じゃん。」
好きなものが一緒より、嫌いなものが一緒の方がいい。
だから少しずつでいいからさ。
自分を好きになる練習をしていこうよ。
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「補完的フレンズ」/ end
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のん - 凪さん» お返事お待ちしております・・・(汗) (2021年5月23日 18時) (
レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 凪さん» リクエストさせて頂いたお話が、いつ頃公開されるのか､教えて頂けると嬉しいです。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 凪さん» そして、出来たら･･･少年が受けてきてた行為の様を障りだけでも構いませんので、描いて頂けると嬉しいです･･･！ (2021年4月14日 21時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - こちらの方で描いて頂く事は、可能でしょうか･･･？ (2021年4月14日 21時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - のんさん» 返信遅くなりまして、申し訳ありません…！恋仲無しの方向で書かせて頂きます！！ (2021年4月14日 19時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あむ
| 作成日時：2021年2月21日 20時
