相合傘 ページ11
慧(15)大貴(5)
慧side
この病院に入院して今年で10年目。
ちょっとベテランの小児病棟患者。
まぁ、そろそろ期限切れだけど。
今まで周りの状況が変わっていく事なんて日常の一部。
退院していった子も治療を諦めた子も意思半ばで亡くなってしまった子も。
俺は沢山の子を見てきた。
次は自分なのではないかという恐怖と元気になれるのではないかという期待を胸に抱いて治療を続けるうちにもう10年。
俺が普通病棟に上がるのが先か、それとも命の電池が尽きるのが先か。
そんな生活をしている。
楽しいことなんて何一つない。寝てるか、点滴受けるか、散歩するか。
図書ブースの本もここ数年で読み尽くしてしまったし。
暇を持て余した俺はテキトーにそこらにあった雑誌に手を伸ばしてパラパラとめくっていると、少しオンボロな部屋の引き戸が開いた音。
この病院、ちょっと古いからね。
背筋がゾワっとするような金属音に思わず顔を上げると、そこには小児科ではそりゃまあ有名な先生。俺の担当医でもある。
……そして、手を繋いでいるのは、小さな男の子。
「大貴くん、今日からここが君のお部屋だよ。わからないことがあったら隣のお兄さんに聞くといいから。……慧、そういうことだから、頼むね。俺この後会議だから。」
早口でぺらぺらと話す担当医。そんなに急がなくったっていいのに。
俺と大貴くん。2人きりになった病室に、生ぬるい春の風が流れ込む。
先生に手を離されてから、ずっと同じ体制で固まったままの大貴くん。
慧「こんにちは。…大貴くんっていうんだね？」
俺は恐る恐る近づいて、俺のお腹くらいまでしか身長がない彼に目線を合わせる。
これでも小児科では人気のお兄ちゃん、(だと思う)だからこういうのは得意。
慧「とりあえず、リュック下ろす？」
話しかけても、とりあえず無反応か。
目線も交わらないし、恥ずかしがり屋の子なのかも。
慧「…お兄さんは、けいって名前。隣にいるから、分からないことあったらいつでも呼んでね？」
人見知りの子には初日は何を話しても、警戒心強めなのはよくあること。
明日にでもなれば、すぐに戦隊ものの真似事に付き合わされるだろう。
カーテンを隔てた向こう側。自分とひとまわりも歳が離れた子がいることに少し違和感を感じつつも、久しぶりの人の気配がなんとも言えない心地よさであった。
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のん - 凪さん» お返事お待ちしております・・・(汗) (2021年5月23日 18時) (
レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 凪さん» リクエストさせて頂いたお話が、いつ頃公開されるのか､教えて頂けると嬉しいです。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 凪さん» そして、出来たら･･･少年が受けてきてた行為の様を障りだけでも構いませんので、描いて頂けると嬉しいです･･･！ (2021年4月14日 21時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - こちらの方で描いて頂く事は、可能でしょうか･･･？ (2021年4月14日 21時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - のんさん» 返信遅くなりまして、申し訳ありません…！恋仲無しの方向で書かせて頂きます！！ (2021年4月14日 19時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あむ
| 作成日時：2021年2月21日 20時
