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光side
傷の縫合を終えて、最後のケアもやらせてもらえることになった。
光「…宏太くん、良くがんばったね。偉いぞ。本当に。」
「宏太くんのお陰で命が伸びる人がいるんだよ。君はヒーローだ。」
体を綺麗にしている間、俺は彼に声をかけ続けた。
もう会えなくなってしまう前にありったけの感謝を伝えたい。
光「宏太くんのお陰で、俺は救われた。」
「自分の治療に自信が持てるようになって行ったんだよ。」
髪の毛を洗い終えて、次は体。
ゆっくりとその細い線をなぞっていく。
たった2ヶ月だったけど、何度も触れたその体。
光「…っ、」
俺はあるものを目にして、思わず息を呑んだ。
彼の白い腕に広がる、数個の痣。
宏太「俺の腕なら、失敗してもいいよ」
担当医になってすぐ、掛けられた言葉が思い出される。
光「……やっぱり、おれ、へたくそじゃん、…っ、」
こんな痣が残るなら痛かっただろうに。
宏太「……失敗上等だよ？」
もうあの悪戯に笑う顔は見られない。
固まった心をほぐす様なあの笑顔を。
光「……っ、ぅっ、……ふっ、…うっ、…」
俺が泣くなんてお門違いだ。
そんなこと分かっているのに、涙は止まってくれなかった。
彼の傷ついた腕を摩りながら、嗚咽した。
光「……っ、…」
「…ありがとう、宏太くん。」
たかが2ヶ月なのに、と思われるかもしれない。
でも俺の人生において最も意味ある出会いであり、時間だった。
俺の進むべき道を君は教えてくれた。
だから、俺も君に教えてあげたい。
君は決して役立たずなんかではないよ。
君のお陰で救われた命と守られた笑顔がある。
光「お疲れ様。かっこよかったよ。」
言葉が届いたのだろうか。
窓から差し込む光が彼が笑う様にきらきらと反射した。
・
「≠sacrifice」/end
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もともとこちらはTwitterのみで公開しようと思っていた作品ですが、意外にも反響を頂けましたのでこちらでも公開する運びとなりました。
Twitterでも読んだ方はお話被ってしまってすみません。
ですので、クオリティはやや低めになっておりますがお手柔らかにお願い致します。
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新道踏切(プロフ) - リクエストお願いします！伊野尾くんが心臓病でいつも心配してくれるやん家族に反抗期で、冷たく当たる話が読みたいです(*^^*)毎回楽しく読ませて頂いてます！更新頑張ってください!! (2021年1月14日 8時) (
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年12月19日 20時
