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涼介side
その日だけだって思ってたのに、お兄ちゃんの読み聞かせは次の日もその次の日も続いた。
せっかく行っても、病室の隅っこで座ってるだけ。
子供たちの笑い声とお兄ちゃんの優しい声を聞くのがだんだん辛くなっていった。
ダメだって分かってるのに我慢できなかった。
涼介「もうやめて。」
気がついたら読み聞かせの途中で輪の中に飛び込んで、絵本をお兄ちゃんから奪ってた。
裕翔「…どうしたんだよ涼介。あと少しだから読ませて?」
「返して?ね?」
でも差し出されたお兄ちゃんの手を咄嗟にはたいてしまった。
裕翔「………っ、」
涼介「……ぼくの。……っ、ぼくのお兄ちゃんなんだから。ぜったいぜったいゆずらないっ!!」
感情が爆発して歯止めが効かなくなった僕はそのまま絵本を胸に抱いて病室を飛び出した。
・
「……っ、ひっく…、っ…」
絵本を奪った時のお兄ちゃんの顔。
呆れてたなあ。
きっとこんな意地悪な弟、きらいって言われちゃう。
自分でした事なのに、後悔の念ばかりが押し寄せる。
涼介「もう…、おはなし、してくれなかったら…っ、どうしよう、」
想像するだけで悲しくてポロポロと涙が溢れた。
病室を飛び出して走ってたら小児病棟じゃない所まで来ちゃった。
外はもう暗いし、足も疲れた。
涼介「ぅっ……おにいちゃんっ、…」
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作者名:あむ | 作成日時:2020年9月1日 12時