Want to live. VIII (ページ8)

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涼介side

その日もいつも通り、学校帰りにお兄ちゃんの病院に向かった。

涼介「おにーちゃん！！」

ガラッと戸を開けると、お兄ちゃんの周りに沢山の子供たち。

裕翔「あ、涼介。」

「だあれー？」

周りの子供たちが口々にそういうとお兄ちゃんはにこりと笑った。

裕翔「俺の弟。涼介って言うんだ。」

「へー、裕翔くん続き読んで！」

お兄ちゃんは優しいから小児科の子供たちに読み聞かせしてあげてるってこの前聞いた。

お兄ちゃんが入院する前は俺だけの読み聞かせだったのになぁ。

なんだかちょっと寂しくなって、今日はもう帰ろうと思った。

裕翔「涼介！もう帰っちゃうの？」

涼介「うん。…宿題あるから。」

嘘だよ。だってお兄ちゃんに会うために授業中にぜーんぶ終わらせた。

でも他の子に読み聞かせしてあげてるだけでこんなに嫌な気持ちになる僕はきっと心が狭い。

裕翔「そっか…。気をつけてね。涼介。」

俺はこの日初めて、お兄ちゃんにバイバイって言わなかった。

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