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慧side
学校の帰りに公園の前を通ると、またあの人がいた。
雄也、だったっけか。
雄也「慧!!」
子犬みたいに笑って手を振ってきた。
雄也「あっ!お前またやられたのか!?」
服が泥だらけで、肘を擦りむいた俺を見て驚いているみたいだ。
これくらいなんてことないって言ったのに。
雄也「自分の体、大切にしなよ。俺みたいにいつ無くなるかなんて分からないんだから。」
俺の体をを濡れたタオルで拭きながら、遠くを見つめて、彼はそう言った。
俺は自然と彼の足に視線が向いた。
雄也「両足とも、膝から下全部ないんだ。」
ズボンの裾をくしゃっと握りつぶす。
そこにあるはずのものがない。
雄也「お前には関係ねーな。」
視線を戻してまた俺の体を拭いはじめた。
どんな言葉を求めて俺にわざわざ言ったのだろうか。俺にはさっぱりわからなかった。
・
何日も何日も雄也は俺にしつこく付き纏った。
俺もいつしか、呼び止められるのが当たり前のように感じるようになっていた事に自分自身驚いた。
雄也「どーだ!?これおもしれぇだろ!…っははっ、!」
「この映画まじ泣けんだよ。切ないなぁっ、」
「おい、慧ばか!素通りすんな!いるのわかってんだろ!」
俺なんてほとんど言葉は発さないから一緒にいてつまらないはずなのに。なんでこんなにも時間を共にしたがるの?
雄也「お前といると気を使わなくていーや。」
周りの人はみんな俺の感情がない事をを利用するのに、この人は。この人は俺とただ一緒にいたいって言う。
慧「………へんなの。」
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作者名:あむ | 作成日時:2020年9月1日 12時