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慧side
雄也「ったく、カッコ悪りぃことするよな。…平気か？自分で立てるか？」
「あっ、すげー怪我してんじゃん、痛そう。洗わないと砂がついてる。」
立ち上がった俺を無理矢理水道に連行したその人は丁寧に俺の膝を洗い流した。
雄也「痛かったろ。よく頑張ったな。」
慧「……べつに。」
「痛み」とか俺にわからないし。
雄也「はっ！可愛い顔して可愛くねーこと言うのな。…なぁちょっと付き合ってよ。」
チャラい見た目してるくせに、ニコッと笑って手招きする彼に不思議な何かを感じながら俺はベンチに座らされた。
その横につけるように彼は車椅子を止めた。
雄也「名前は？」
慧「けい、。」
雄也「ほぉ、けいくんね。俺は雄也。」
慧「……。」
雄也「…なんでさっき抵抗しなかったんだ？なにか脅されてた？親は知ってるの？」
そんなに一度に質問責めしないでほしいと思ったが、俺はもう彼のペースに飲まれていた。
慧「…ううん。俺別に何も感じないから平気。」
雄也「んなはずないよ。人間誰しも感情あるんだから。」
慧「…じゃあ俺は人間じゃない。俺はみんなでいう苦しいとか辛いとか楽しいとかそういうの分からないから。」
雄也「じゃあこれから俺がお前に教えてやるよ。人間の感情を。」
そんなこと言う人は初めてだった。
みんな俺にかける言葉は「可哀想」か「気持ち悪い」の2択だったから。
11年間生きていてなにも分からなかったんだ。
そんな短い期間で変わるはずない。
そう思ってた。
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年9月1日 12時
