Want to live. VIII (ページ43)

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慧side

俺に小学校でついたあだ名は藁人形。

ひょろいのもあったかもしれない。

でも、1番の理由はみんなのストレスや苦しみをぶちまけられる事が多かったから。

俺には何を言ったって何をしたって自分が悪くなることはない。だから、俺をストレス発散の場にした。クラスメイトも、家族も。

「お前なんで何も言わないの？」

「顔に筋肉ないんじゃね？」

「これじゃ生きてるか死んでるかわからないよな。」

公園の隅っこでクラスメイトに日々の不満をぶつけられる。

体に毎日増えていく痣には、親も教師も近所の人もみんな気づいているだろう。

でも、「あぁ、あの子は大丈夫よ。」と簡単に終わられせられた。

それじゃあまるで悪いのは完全に向こうなのに、俺が悪いみたいじゃないか。

まぁいいけど。

ただ死なないように受け身をとる。俺を痛めつけることでみんなの気持ちが救われるなら別にwinwinの関係だとも思っていた。

「なぁ！！抵抗しないやつ殴るなんてカッコ悪いと思わねぇのか！」

「喧嘩は対等にやれよ。」

いきなり聞こえたその声に、クラスメイトの罵声が止む。

砂埃の奥に見えたのは、俺たちよりずっと大きい、高校生くらいの男の人。

髪は金色でピアスがいくつも光っている。

でも彼は車椅子に乗っていた。

「いこーぜ。」

強面のお兄さんに皆、恐れをなしたのかゆっくりと立ち去っていった。

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