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宏太side
「脈、血圧共に安定していますね。今日半日は、点滴を外しましょう。」
お昼頃に来た先生は侑李の腕からそっと針を抜き、テープを貼り付けた。
俺が外まで先生を見送って、部屋に戻ると何やら騒がしい様子。
涼介「宏太！侑李が目覚ました！」
慧に支えられているのは棒立ちの侑李。
この状態ではまだ侑李は目覚めていない。
侑李はこの期間の眠りから覚めた後は、重度の鬱状態。
ほぼ意識はなく、誰の問いかけにも応じずにふらふらと玄関へと歩いていく。
これも毎年のことだ。
ほぼ無意識の侑李に上着を着せて、靴を履かせる慧。
ドアを開けるとそのまま、どこかへ吸い寄せられるように歩いていく。
行き先はいつも同じ。
たいがくんが眠る場所だ。
4人でここに来るのは何度目だろう。
今日が命日なこともあって、ご家族が新しいお花を供えていった形跡がある。
色とりどりの花が日に照らされてのびのびと咲いていた。
侑李はたいがくんのお墓の前まで来るとぺたんと座り込む。
俺と慧と涼介はただその姿を見守る事しかできない。
ポロポロと涙が砂に落ちて濡れていく。
侑李「はぅっ……ひっ………っ、…うぅっ、」
そんな姿を見ていると俺たちも自然と涙が溢れてくるんだ。
侑李が長年闘っている罪悪感がひしひしと伝わってくる。
侑李「……ごめんねっ、……ごめんね、」
涼介「………侑李っ、」
侑李が声を出したら、終わりの合図。
俺たちが求めていた�猥厖��瓩�戻って来たのだ。
即座に涼介が駆け寄り侑李を抱きしめた。
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年9月1日 12時
