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慧side
ラグマットに座り込んで2人の世界に入り込む兄弟。
大貴は涼介のことをよく理解してくれていて、涼介も大貴の言葉にはよく反応する。
父親として嬉しくも、悔しくもある。
でもいわゆるきょうだい児問題がないだけ、うちは恵まれているのだろう。
慧「大貴ー、風呂入ってくるわ」
大貴「んー、りょうちゃんのこと見てるわ。」
大貴を涼介に預けて束の間の休息時間。
湯船に使って今日の夕食のメニューを考えた。
・
風呂から上がって一階に戻るとなにやら騒がしい様子。
涼介「あ゛ーっ、……んっ〜っ!!!」
ドアを開けると、先程まで並べていた電車を至る所に投げながら泣いている涼介と少し遠巻きに立ち尽くす大貴。
慧「りょうちゃんっ!!」
パニックがいつもよりも酷くて、自傷まで出始めている。
ガジガジと自分の腕を噛む姿は見るに耐えない。
俺は耐えきれずに涼介に駆け寄ろうとした。
大貴「父さん!!!」
走り出した俺を呼び止める大貴。
普段、温厚な大貴からは発せられない低い声だった。
大貴「手、出さないで。」
慧「……え?」
俺は目の前で涼介が苦しんでいるのに、抱きしめない理由がわからない。
りょうちゃんって名前を呼んであげないと、手の傷だって深くなってしまうかもしれない。
でも大貴の顔は険しく、俺を見つめた。
大貴「りょうはいま戦ってるから。」
「……自分の感情と。」
「もちろん手は差し伸べたい。…でもりょうに自分で乗り越えてほしい。」
大貴がそんなふうに思っていること、俺は全く知らなかった。
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作者名:あむ | 作成日時:2020年9月1日 12時