Want to live . VI

みんなちがって、みんないい ページ35

裕翔(35)慧(13)親子設定

裕翔side


裕翔「慧、ご飯できたよ。」


慧「んー、あとちょっと。」


裕翔「だめ。冷めちゃうから。大丈夫、本は逃げないよ。」


ベッドに寝転んで本を読んでいた慧を半ば強引に隣の部屋まで運ぶ。


慧は生まれつき左足が太もも辺りから全く無い状態で生まれてきた。


学校では義足をつけさせて生活をしているけど本人は疲れてしまうらしく、家での移動は俺の抱っこが殆ど。


父子家庭で兄弟もおらず、加えて足の障害。


それらの状況からか慧は自分から言葉を発することはあまりない。


そんな慧の唯一の心の拠り所は、本を読むこと。


声をかけなきゃ何時間だって読み続けてる。


裕翔「慧は本当に本を読むのが好きだね。」


慧「本の中は楽しいよ。なにも気にしなくて良いんだ。……なんでも自由なの。こんな俺でもスーパーヒーローになったり、楽しい学校生活を疑似体験できるの。」



裕翔「……そっか。」



彼の母親も生前同じような事を言っていたなぁなんて懐かしくなる。



慧が本を好きなのもきっとお腹にいる時からお母さんの読み聞かせを聞いていたからだろうなんて思ってる。



交通事故で不慮の死を遂げた妻もまた、本当に本が好きな人だった。



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