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青side
病院の先生と保育園の先生と話し合いを重ねた結果、大我はプログラムの途中からおわかれの言葉のよびかけと合唱にだけ参加することになった。
体力と免疫とを考慮してみんなと式に参加できる時間は20分程だ。
練習には参加出来ない大我の為にジェシー先生がみんなが練習をしているところを撮影した動画を送ってくれた。
それを見ながら大我は毎日練習を繰り返しているみたいだが、「パパにはまだないしょ！」と病室からは追い出されている。
桃「しんちゃんせんせ…」
緑「ちょっと疲れがでたかな。氷枕持ってくるね。」
頑張り屋さんな大我だから、練習に熱中するあまり自分の体の不調に気がつかないことは結構あって、それが今の不安の種だ。
青「大我、熱もあるし今日は少しおやすみしよう？」
大我が抱きしめていたタブレットを腕から抜き取ると、大我は布団をかぶってぐすぐすと泣き始めてしまった。
具合が悪いこともあって気持ちのコントロールが上手く出来ないのかもしれない。
未だに大我の気持ちと体調の天秤をまっすぐにしてやることは難しい。
桃「…ｯｸﾞｽ……ごめんね、ぱぱ、」
青「どうして謝ったりするの…大我はは何にも悪くないよ。」
桃「ぼくが、みんなみたいに…げんきだったら、ぱぱは…」
大我の言葉が詰まる。代わりに鼻を啜る音が大きくなって、徐々に泣き声が布団をすり抜けて俺の耳にまで届いた。
青「…悪いのは、大我じゃないよ。」
動画の中でいきいきと声を張ったり、体を揺らしながら歌を歌う同い年のこどもの姿が大我の目にどのように映ったのか。
6歳の大我には残酷な現実だったかもしれない。
でも1週間後には、大我もこの子たちと肩を並べて同じように輝くのだ。
乗り超えた苦悩の数だけ、素敵なことが大我を待っている。
その事実に、1週間後大我自身で気がついてほしいから。
俺はまだ、大我を抱きしめることも褒めることもしない。ただそっと隣に寄り添い、その日が来ることを待つ。
布団の中から伸びてきたほかほかな手が俺の手を探す。手を重ねると、ぎゅっと強く握られて、それは大我の決意を表しているかのようだった。
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作者名：ばにら | 作成日時：2024年3月22日 21時
