微睡み 8 (ページ11)

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◎ ハーバリウムの中で　［青／桃］ページ11

黒side

朝起きて、1番に聞く音。

___ピッピッ

___シューッ

___プシュー

兄が生かされる音で目を覚ます朝は、もう何度目だろうか。

全身ににたっぷりとかいた冷や汗が布団すらもじっとりと濡らしていた。

あの日の夜から、俺にはもう清々しい目覚めは訪れない。登り始めた朝日が俺の罪悪感を明るいところへ引き摺り出そうとしている。

黒「…おはよう、樹。」

ぱっちりと開いた瞳が今映しているのはなんなのだろう。樹の瞳は真っ暗で、彼だけが夜に取り残されているような…。

桃「ふぁぁ…ほっくんおはよー、」

後ろから聞こえた高い声にハッとする。寝ぼけ眼をぐしぐしと右手で擦っている大我がいつも通りの時間に起きてきた。

桃「じゅりくんまだねてるー…？」

黒「ううん、起きてるよ。」

桃「おはよぉ、じゅりくん。」

俺に言ったのと同じように、大我は朝の挨拶をする。もちろん、彼から返事はない。

規則的に鳴る機械音だけがその重たい時間を埋めていた。

黒「朝ごはんにするから、顔洗っておいで。」

今日がはじまる。

今日もまた、樹と大我と俺で生きる1日が。

俺と大我でトーストとベーコンエッグをパクつきながら会話のキャッチボールをする。

黒「今日の夜ごはん何がいい？」

桃「んーとね、ハンバーグ！」

黒「わかった。今日もお迎えは遅くなっちゃうと思うけど…。」

桃「ううん、大丈夫。せんせーと仲良しだから！」

大我には本当に寂しい思いをさせていると思う。

でも文句も泣き言も言わずに保育園に行ってくれる大我には助かっている。

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