◎ シェルター ［黒］ ページ47
「日照り雨」「くもりときどきあめ。」の世界線です。
青side
あれから北斗の病状は、一進一退を繰り返しながら、…でも少しずつ前に進める日のほうが増えてきたような気がする。
それは、やはり京本先生の存在が大きいだろう。今まで自分を責め続けてきた北斗に対して、根気強く温かな言葉を掛けてくれたからこそ、北斗も自分のことを少しずつ俺以外にも打ち明けられるようになったのだ。
青「北斗、もう寝ないと明日起きられなくなっちゃうよ。」
黒「もう少しまって。あと少しで終わるから。」
青「そのノートどうしたの？」
就寝前に机に向かってシャーペンを走らせる北斗。大学ノートよりもひと回り小さなリングノートに何やら熱心に書いているようだった。
黒「あのね…京本先生が用意してくれたの。その日1日嫌なことでも良いことでもいいから、どんな気持ちになったか書き出してみるといいよって。これを始めてからモヤモヤがなくなる気がしたの。」
青「今日は良いことあった？」
黒「あった。明日、京本先生に話したいなって思う。」
先生は北斗が学校に行く意味を、そして居場所をくれる。
北斗がノートを大事そうにカバンにしまったのを見届けてから、寝室の照明を消した。
・
黒side
樹には言っていないけれど、冬休みに入る前に僕は京本先生と小さな約束をした。
��3学期は1日に1度は教室に足を踏み入れること。��
もちろん強制された訳じゃない。僕が頑張りたいって言ったから、体調と相談しながら1番学校が短い3学期に挑戦してみようかと提案してくれた。
桃「体調と相談をして学校に来ることができないと判断できた日はそれで合格。それも、北斗くんが自分の心と向き合った証拠だからね。」
先生は僕が逃げられる道を用意してくれる。でも、1年間寄り添ってくれた先生に成長したところを見せたい一心で僕は教室に行くことを頑張っている。
HR前、樹を引き止めてしまうことをやめることも抗不安剤の服用を抑えることもまだまだ難しいけれど。そんな時は京本先生の「えらいね」を思い出す。
黒「きょうも、ちゃんと迎えにきてね、」
青「あたりめーだろ。」
樹と繋いでいた手が離れて、冷たい空気に触れた手をリングノートを抱きしめることでなんとか誤魔化す。大丈夫って樹には言ったけど。…今日少ししんどいな。薬、足りなくなっちゃうかも。パニックになったらどうしよう。
ざわざわ。
…今日は少し早めに先生に会いに行こう。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
は - 何で他5人全員書いてんのにジェシーだけ書かないの？ジェシーイジメ嫌がらせ怖 (1月18日 0時) (
レス) id: e82707ab22 (このIDを非表示/違反報告)
. - コメント失礼致します。ジェシーの病系のお話も、書いて頂きたいです。宜しくお願い致します。 (7月27日 4時) (レス) id: e82707ab22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばにら | 作成日時：2022年11月16日 7時
