moon (ページ31)

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黄 side

ジェシーがいないと我が家は静かだ。

さっき見送ったばかりなのにもう顔が見たいなんて、俺は寂しがりやだなあと思う。

在宅での融通が効く仕事を選択している俺は、ジェシーがいない間パソコンのキーボードを無心で叩く。

そろそろジェシーはお昼ご飯の時間かな、なんて考えていると携帯のバイブが机を揺らす。

すぐに電話を取ると、向こう側で聞きなれた泣き声がする。

なにがそんなに悲しかった？ジェシー。

電話を耳と肩で挟んだまま先生と会話しながら、荷物をまとめて俺は急いで車のエンジンをかける。

車に乗り込むと、ジェシーが好きな童謡のCDが当たり前のようにかかり出す。

隣でゆらゆら揺れながら音楽を聞く姿がないだけでこんなに車の運転も寂しくなるものなのか、と感じる。

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学校に着いて玄関に入った所でもうジェシーの泣き声が聞こえてきて俺は焦る。

すぐに先生に教室へと案内されると、教室の隅っこで膝を抱えながら大泣きするジェシーとそんなジェシーに寄り添うようにしゃがみ込む慎太郎先生。

赤「ぅ゛あ゛ーっ！！ｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ、…ﾝｸﾞｯ….ひっ、」

遠くにいる俺でも耳を塞ぎたくなるような大きな泣き声なのに、慎太郎先生は顔色一つ変えずジェシーを見守ってくれていた。

泣きすぎて咽せこむジェシーの背中を優しく摩りながら、優しく声かけをしてくれている。

いつもは穏やかで、感情を爆発させることなんて滅多にないジェシー。

溢れ出る気持ちの処理の仕方が分からないのか、ただ無理矢理に声を出して泣こうとする姿が見ていてとても心苦しかった。

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