moon (ページ29)

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緑 side

質問を終えて、一度お父様には席を外してもらう。

お父様がいなくなった空間でどのように2人が行動するのかを少しだけ見学だ。

緑「北斗くんはパズルが好きって聞いたよ！どっちがやりたいですか？選んでタッチ！」

自分で選択すること、を日常に織り交ぜるのはとても大切。北斗くんは指差しが出来るって聞いたからそれを応用してハイタッチもできるかな？

今日ここに来てから1度も声を発していない北斗くん。声が聞けるといいんだけど。

緑「どっちですか？」

くりっくりのまあるいおめめが2つのパズルを行ったり来たり。

黒「……んっ、」

緑「あ、」

俺が気を抜いていた隙に、パズルを手から半ば強引に取られてしまった。まだスキンシップは難しかったか…。

パズルを床に広げてピースをごちゃ混ぜにしていく北斗くん。悩みながらも少しずつピースをはめていく姿は真剣。この子の集中力、伸ばしてあげたいな。

青「…ああーっ、んぅ〜っ、きゃっ」

緑「あっ！樹くん！」

するとてとてとと北斗くんの元に歩いてきた樹くんがはめられていたピースをぐちゃぐちゃにしてしまう。あともう少しの所だったのに…！

泣いちゃうかな、って少し構えて様子を見る。

黒「……じゅり、ぱずる、します」

青「…あー、」

けれど北斗くんは怒るどころか、樹くんの頭をわしゃっと撫でてピースを手渡す。

樹くんはパズルのピースを手にただ左右に揺れているだけだったけれど、北斗くんはその後も樹くんを気にしながらパズルをしていた。

青「…んぁっ！あははっ、」

黒「できた、…ました」

そこには2人だけの世界が存在するかのよう。言葉は噛み合っていないけれど何故か心通じ合っているように同じタイミングでくすりと笑ったり、顔を見合わせたり。

とっても素敵な双子ちゃんだなあ。補い合って支え合って生きてるんだ。

緑「すごい！2人で上手に出来たね！えらい！たっち！」

伸ばした手に何故か頭を擦り寄せてくる樹くんとふい、と知らん顔な北斗くん。

これからよろしくお願いします、と声を掛けると1番驚いていたのはお父様だった。

fin

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