☆秘密の夜食 【赤】 ページ3
🦓(8)
桃 side
「……んぅ、さむい。」
急に布団を剥ぎ取られた衝撃で意識が覚醒する。とんとん、と体を叩かれて目を薄らと開ける。
『ｸﾞｽｯ…ﾋｯｸ……』
「…じぇしー、どうしたのぉ。まだねんねだよ、」
しゃくり上げて泣いていたのは弟のジェシー。睡眠障害が酷いから今日もまた起きちゃったのかな。
「お兄ちゃんがいっしょに寝てあげるからだーいじょーぶ。」
俺もまだ眠かったし、ジェシーを布団の中に連れ込もうとしたけれど力一杯拒まれる。
『ん゛〜っ！』
「なぁに？なんだこれ、海苔？」
そして顔に押しつけられる何か。暗がりの中で目を凝らしてよくよく見てみると、浮かび上がる「焼き海苔」の文字。
「え〜、いまぁ？もう歯も磨いたじゃん。」
このアピールの仕方から察するに、「起きちゃって眠れないから、おにぎりを食べて落ち着きたい」ってことなんだと思う。
ジェシーがパニックになった時、いつもおにぎりを作ってあげると呼吸が整うからって毎度毎度そうしてあげてた。
時間も時間だけど、ジェシーが自分で提案してきたのはまた新たな成長であることに変わりはない。
「食べるの？食べたら、またねんねできる？」
『……ｺｸﾝ。』
「分かったよ。下行こっか。」
焼き海苔を意地でも離さないジェシーの反対の手をとって階段を一つずつ下りる。
「美味しい？ジェシー。」
夜中の3時なのにぺろりとおっきいの食べ切っちゃって満足気。
俺もダイエット中だけど、1つくらいならって一緒に食べちゃったよ。
ジェシーも知っちゃったね、背徳の味を。
fin
・
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作者名：ばにら | 作成日時：2022年2月13日 16時
