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黄 side
「しんー、ロロ来てくれたよ。」
慎太郎は遂にロロが来ても、目を覚さなくなってしまった。
薬を使っても落ち着いてくれなかった憎いがん細胞が慎太郎の体内に逡巡し、好き勝手暴れているのだ。
今にも途切れそうな呼吸が、慎太郎の限界を物語っているようで苦しい。
いつその時が来てもおかしくない中で、ロロは慎太郎の側を離れなかった。
「っ優吾さん、！大丈夫ですか。」
「…すみません、っ」
眠り続ける慎太郎と寄り添うロロ。はじめて病室にロロが来てくれた日のことを思い出す。
慎太郎のきらきら笑顔が再生されて、今とのギャップにくらりと目眩がしてしまった。
咄嗟にハンドラーさんが支えてくれる。
痩せ細った慎太郎を潰さないようにしながらも、1番近くで寄り添ってくれるロロ。
慎太郎の肩に甘えるように顎を擦り付けて、あの日と同じように可愛い甘えた声を出していた。
『………ろ、………ぉろ』
「…慎太郎っ、」
そんな願いが届いたのか、慎太郎はうわごとのように呼び慣れたその名を口にした。
そしてあろう事か、ふんわりと口角を上げた。
「慎太郎くん、今笑いましたね。」
夢の中で慎太郎はロロと楽しく遊んでいるのだろうか。
たとえ夢でも、幻覚であったとしても慎太郎が幸せならばそれでいい。
苦しい思いをして逝くより、ずっとずっと。
「しん、よかったな。ロロと沢山あそべて、」
「…うれしいよな、っ…しん、…しん。」
今までならどうして慎太郎が、って思ってた。
でも慎太郎が病気にならなきゃ巡ってこなかった出会いが今ここにある。
慎太郎が心拍をゆっくり落としていく中でも、ロロは穏やかに優しく慎太郎の手をぺろりと舐めた。
�爐佞佞叩△�すぐったいよぉ、ロロ。��
fin
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作者名：ばにら | 作成日時：2021年10月21日 11時
