11. ☆ ページ12
「入れば、」
国王陛下の部屋で会った時とは全く違う雰囲気。不機嫌で敬語も取れてて、なんだか年相応の女の子なんだと感じさせる。まだ緊張はするけれど、昼間会った時よりはだいぶましになった。
「こちらに、置いておきますね」
「ソクジンさん…毎日もういらないと言っていたのにあの人はお節介な人ですね」
「あー…はは」
毒吐きは健在なようで…。ホットミルクをサイドテーブルに置きながら俺は苦笑いを一つこぼす。
「ん？」
サイドテーブルにホットミルクを置いて、それからその横にある写真立てが目に入る。今より少しだけ若い陛下と、ソクジンヒョンと同じような服装をした、色が白くて優しそうな笑顔の男性がそこに写っていて。
「あっ、みないで…！」
「？！す、すみません！」
写真立てを見ていた俺に気付いた陛下が、素早く写真立てをサイドテーブルからとって自分の懐に持っていった。それからぎゅっと抱きしめて、まるでその写真を見られたくなかったかのよう。じとり、と俺を見る目にやってしまった！という冷や汗が出てきて。
「申し訳ありません…陛下」
「出て行って、顔も見たくないわ」
「し、失礼します…」
冷たく言い放った言葉に何も言えなくなってしまって、俺はぺこりと頭を下げて部屋を後にした。
自室に帰ってきて、俺はうおお！と頭を抱える。やっっっってしまった…。絶対嫌われた。俺執事やっていけない絶対やっていけない。自室のベッドに横になり、俺はぐるぐると転がる。余計なことに首を突っ込まなきゃよかった〜！と後悔ばかりが頭をよぎった。
(俺の執事ライフは幸先悪い)
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作者名：みみ | 作成日時：2015年9月4日 17時
