ド派手に追いかけられる身にもなって欲しい[宇髄天元][短編集]

今世紀最大の大喧嘩 end ページ10

昼頃 時透の屋敷に向かったが時透の気配はしなかった

代わりに違う気配がした
俺は気配がする方向に向かって歩いた

するとトタトタと小さいが誰かが走って
何処かに逃げ込む音が聞こえた

この俺を誰だと思ってやがる！
俺は元忍で耳もいいんだ


宇｢おい誰か居るだろ この俺の舐めるんじゃねぇ！｣


勢いよく部屋の襖を開けると部屋の隅に小さく縮こまったAが居た

おどおどとした様子で俺を見る

何でわざわざ時透の屋敷に逃げたんだよ
蝶屋敷でいいじゃねぇか
時透の方が頼れるのか？

いろんな感情が俺の中で渦を作る


宇｢……なんでここに居る｣

｢えっと……無一郎君に匿って貰ってて…｣

宇｢…時透の方がいいか？｣

｢えっ…？｣


俺がそう問いかけると目を見開いて俺を見上げる

悲しそうな困ったような…
何とも言えない表情をしてるA

何でそんな顔をする

俺はお前を悲しませたい訳じゃねぇんだ

部屋に入りAの目の前にしゃがむ


宇｢怪我はしてねぇか？｣

｢…はい｣

宇｢体調は悪くねぇか？｣

｢…はい｣

宇｢ならいい 好きなだけ時透の屋敷でゆっくりしてろ｣


そう言って頭を撫でるとポロポロと涙を流し出した
Aが泣いてる姿を見るのは2回目だ

また俺が泣かせた

自分の不甲斐なさに腹が立つぜ


宇｢悪かった 俺の独り善がりだったな
でも心配なのも離れて欲しくねぇのも本心だ

このたった1日 お前が居ねぇだけでどうかなりそうだった
正直不安なんだ こんな俺の隣にお前が居ていいのかって
けどよ 惚れ込んだ女をやっと嫁に出来て放っておけるほど
俺は男ができちゃねぇんだ

話すべきだった すまない
だが派手に元気そうで安心した｣


まだ流れてくる涙を拭いながらA

気が向いたらまた戻って来いと言って
立ち上がろうとした時Aに着物の裾を引っ張られた


宇｢どうした？｣

｢……ごめんなさい！私っ…酷いこと言いました……
それに簪まで投げつけて…ごめんなさい……｣

宇｢怒っちゃねぇよ それに俺も酷い事を言ってしまった
お前は何も気にする事はねぇよ｣

｢ごめんなさい……あのっ…簪お気に入りなのに……｣


俺は懐から簪を出してAの髪に飾ってやる


宇｢誰もお前と離別しようなんて思ってねぇよ
離別なんかしようもんなら派手に追いかけてやるからな｣

｢ふふっ…帰りましょう 宇髄さん｣


時透の屋敷を出て俺達の屋敷戻る

後日Aは時透に大量のふろふき大根を作って持って行ったみてぇだ

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