9、変な噂の段 ページ9
「小平太先輩〜!」
「お、Aではないか。どうしたのだ?そんなに慌てて」
「実は先輩にお願いがあって……」
それからしばらくしたある日。
翌週に苦無のテストがあると言う事で、七松に教えをもらおうとしていた。
「私に任せろ!くノ一教室で一番の成績を出させてやる」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
Aと七松の距離が近くなったと言うのは、あっという間に忍術学園に広まった。
Aも慣れてきたのか、七松といる時は五年生といる時のような雰囲気になる。
「もっと腰を低くして」
そう言いながら七松はAの後ろに立ち、腰を支える。
こんなに男女が密着していれば、話題の的となってしまう。
良いのか悪いのか分からぬが、変な噂も立ってしまう。
「そして狙いを定めるのだ!」
Aと七松が恋仲だと。
誰がそんなホラを吐き出したのか。
Aは呆れて何も言えなかったが、七松は珍しく頬を赤く染めて慌てていた。
「私に気でもあるのかな?」
そう小さく呟いたAだったが、七松に集中していないと怒られてしまう。
生憎何と言ったまでは、七松も聞き取れなかったようだ。
「A、そろそろ夕食を食べに行かないか?」
「そうですね。あの、また明日も稽古をつけてもらってもいいですか?」
「勿論だ!明日は塹壕掘りでも教えてやろう!」
「塹壕はテストにないので結構です!」
元気良く食堂まで引き摺られるA。
本当、最近のAは七松に対して態度が変わった。
この一覧を見ていた湯釣は不思議そうに首を傾げた。
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作者名:もやし | 作成日時:2020年12月13日 20時