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Aは学園長室へ足を運ぶものの、七松は既に居なかった。
「あ、A!保健委員全員で用があって……。足、見てあげれなくてごめんね」
「大丈夫です!あの、小平太先輩を見かけませんでしたか?」
「途中で会わなかった?小平太ならAが医務室に居るからって走って行ったけど」
荷物を抱えた善法寺から情報をもらうと、すぐさま医務室に戻ろうとする。
「先輩、荷物半分お持ちしますよ?」
しかしくノ一教室の良い子代表のA。
重そうな荷物を見逃せる訳がない。
「じゃあお願い……って言いたいところだけど今は駄目!Aは怪我人なんだから!」
ここで反抗すれば説教が始まってしまうと察したAは、素直に従う事にしたようだ。
「では失礼します」
「お大事に〜」
丁寧に会釈をすると、来た道を戻って行った。
「……行ったみたいだよ」
「あぁ、すまないな伊作」
「役に立てなのならよかった。けど小平太がAを避けるなんて珍しいね」
木の枝から姿を見せる七松。
いくら優秀なAでも、六年の七松の存在は見破る事ができなかったようだ。
「なんか恥ずかしくなってな」
「恥ずかしく……?」
予想外の答えに善法寺は理解するのに時間がかかる。
「街へ任務に行った時向日葵の簪を見つけたんだ。それをAにあげようと思って買ったのだが、中々渡せなくてな」
「小平太が細かい事を気にしているなんて……」
先程の任務での帰り、簪の入った包みは大切な人に贈ると言った。サプライズで渡したかった為、
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作者名:もやし | 作成日時:2020年12月13日 20時