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6、放課後デート ページ6

「美味いなこれ!」


「はい、美味しいですね!」


木兎に続けて美味しいと言ったものの、今一手に持っているクレープの味は理解しきれていない。
と言うか何故今木兎と二人きりでクレープを食べているのかが不明だ。


「あの、先輩。部活の休憩の話って聞こえてました?木葉先輩と尾長との会話なんですけど」


「あー話してるなぁとは思ってたけど話までは聞こえなかった」


その言葉に安心するA。
実はあの時、木兎をデートに誘うにはどうしたら良いかを二人に相談していたのだ。


「誘ってもないのに放課後デート出来るって何事?!先輩が私を意識ってのは絶対ないから、きっと京ちゃんが仕組んでくれたに違いない。……明日野菜ジュースパック買ってあげよ」


お決まりの独り言だが、木兎からしてみれば丸聞こえだ。


「俺とA距離あるって赤葦に言ったら、俺が主将だからって言うんだよ。だから主将でも緊張しなくていいんだぞって事で寄り道!主将の俺だって寄り道位するしな」


だが木兎、理解は出来なかったようだ。


「え、距離なんて置いてないですよ!」


Aも独り言が聞こえているとは思ってもみないのだろう。淡々と話を続ける。


「まぁ今回を機に親睦を深めようではないかぁ!」


「木兎先輩と親睦を……勿論です!」


因みに行っておくが、二人は下校帰りである。
クレープを片手に何を叫んでいるのか。とても迷惑行為である。
しかし赤葦が居なければどちらも収拾がつかない。


「親睦ってどうやって深めるんですか?」


「んー」


素朴な疑問を木兎に尋ねる。
珍回答しか返ってこない木兎に聞いてしまったのが間違いだったのだろう。


「クレープ交換とかか?」


クレープ交換。そんなもの聞いた事もない。
きっと手に持っていたクレープから引っ張られたに違いない。


「木兎先輩はチョコバナナでしたよね」


イチゴホイップのクレープを木兎の口元に傾けてから、まるで食べさせてくれと言わんばかりに口を開くA。


「え、A、?」


流石の木兎でも照れるのだろう。
Aからしたらいつも赤葦とやっている事と何の変わりもない。


「何ですか?早く食べて親睦深めましょ!」


Aに促され、木兎はイチゴホイップのクレープを一口口に含んだ。
そしてAの口元へ自分のクレープを持っていく。


「ん!チョコバナナも美味しい!」


嬉しそうに微笑むAに、思わず頬を赤く染めた木兎であった。

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作者名:もやし | 作成日時:2021年3月10日 22時

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