２、マネージャー ページ2
「Aおにぎり食べる〜？」
「こら雪絵、Aの仕事の邪魔しない」
「大丈夫ですよ、かおり先輩。雪絵先輩、一つ頂きますね！」
何とも素晴らしい後輩なのだろうと、白福と雀田は毎度Aに感心する。
「相変わらずAはいい子だわ。よし、かおり先輩が飴ちゃんをあげよう」
「やった！頂きます！」
「Aばっかずるい。私も飴ちゃん食べたい〜！」
「あんたはおにぎり三つも食べたでしょ」
一つ上の二人に、とても良くしてもらっているA。
選手達がハードな練習をしている中、こうしてガールズトークをしては盛り上がっているのだ。
「あ、そろそろ時間だね。私と雪絵はスポドリ配ってくるから、Aはレギュラーとそれ以外の部員にもタオル配っといて」
「りょーかいです」
雀田の指示に従い、すぐさま人数分のタオルをバケットに用意する。
「京ちゃんどーぞ」
「ありがとA。部活は慣れた？」
「大分慣れたよ。先輩達も色々教えてくれるし楽しいし、もうリア充してる」
「それはよかった。あんまり無理しすぎないでね」
「先輩達からおにぎりと飴もらったからへーき！」
近くにいた赤葦からタオルを配りに走り出したA。
やはり赤葦は過保護というかなんというか、相変わらずイケメンである。
「木兎先輩、タオルでーす。木葉先輩達もどーぞ」
三年生にもタオルを渡すと、端の方でスポドリを飲んでいる尾長を見つける。
「尾長も取っていいんだよ？汗拭き用タオルだし」
「あ、はい！ありがとうございます」
律儀にぺこりと頭を下げる尾長に、Aは少々距離を感じる。
別に尾長は悪い事はしていない。しかし二人のマネージャーと比べ、明らかにAは避けられているのだ。
「尾長、途中入部とか気に入らない人？」
「え？」
いきなりの問い掛けに、思わず尾長は固まってしまう。
「こらA、尾長を虐めない」
「虐めたつもりありませんー。ただ距離を感じるって言うか……。あ、尾長って人見知り？けどもう約一週間は一緒にいる訳だしやっぱり嫌われてる感じ？」
木葉に反抗すると、ブツブツと独り言を始めるA。
ここ一週間で分かった事だが、Aは素晴らしく独り言が多い。
しかもその声は周囲の人には丸聞こえである。
「取り敢えず尾長さ、私の事嫌い？」
「だから虐めるなって」
「虐めてませんもん」
二つ目に分かった事。とても積極的である。
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作者名：もやし | 作成日時：2021年3月10日 22時
