好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ34)

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34、合宿①⑧ ページ34

「おーいA。いつまでも拗ねてるなよ」

「拗ねてませんよ！照れたんですー」

旅館を出ると、Aが木陰でうずくまっていた。
木葉はゆっくりと近付き、隣に腰を下ろす。

「じゃあ何で照れたんだ？」

「ふつー照れますよ！」

「……ふーん」

「……何ですか」

間が空いた返事に、Aは身構える。木葉の悪い顔と言ったら不気味でしょうがない。

「じゃあ俺とキスするか」

「……何言ってるんですか」

「あれ？照れねーのか？」

「そりゃ照れませんよ。木兎先輩は押し倒してからのキスしようとしたとか何とか……」

「じゃあ押し倒してキスしてやるよ」

「木葉先輩、頭平気ですか？」

そんなAの話など聞いておらず、木葉はAを押し倒した。
芝生がふわりとAの背中に触れる。

「次はキスだっけ？」

普通なら顔を真っ赤にして困惑するだろう。

「するぞ、？」

「しませんよ。何変な事しようとしてるんですか。焼きますよ？」

だがAは顔色一つ変えず、木葉の頬を摘む。

「意外と痛えよ。てかお前、照れねーな」

「……照れましたよ！すっごく」

「何言ってんだか。頬つねられて終わったわ」

木葉は大勢を直すと、仰向けになっているAに手を差し伸べる。

「俺には照れなくて、木兎は照れた。つまりよ、木兎の事意識してるからじゃねーの？」

「……私、彼氏いますもん」

「認めたくないならそれでいいけどなー」

再びうずくまるAの頭をポンと二回叩くと、木葉は旅館へと帰って行った。