好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ4)

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4、反対ページ4

「……はぁ～？！Aが付き合った？！」

赤葦が部室に顔を出した時には、もう噂は広まっていた。
木兎がまたかと言うように頭を抱える。
他の部員達も呆れ顔だ。

「断るって思考がないからなーAは」

「だからどの男もトライする訳だ」

「まぁ本人に悪気は一切ないけどな。悪い事でもないし」

「それにAさん、美人ですからね」

「本人もモテてて悪い気はしないって言ってたな」

木兎以外の3年と尾長が口々に言うが、木兎ばかりはそうもいかない。

「そんな事言ってる暇ねーだろ！またAが辛い思いすんだぞ？！」

「そうは言っても本人の問題だしな」

「Aが誰と付き合おうが俺らには関係ない事だろ？」

木兎が騒いでも、誰も相手にしない。
確かに木葉達の言う通りである。これはA自身の問題だ。他人が口を挟む事ではない。

「……早く体育館行きましょう」

が、今回ばかりは木兎に賛成な赤葦。
それは当たり前と言うか何と言うか、難しい話である。
何せ赤葦、

「赤葦もそー思うよなぁ？！なぁ！」

「当然でしょう。……イトコなんですから」

まぁこう言う事だ。

「赤葦はイトコだから分かる。……分かるけどお前は分からん！」

「なっ！分かってくれ木葉ぁ！」

何故そこまで口煩く言うのか。それは木葉達もわかっている。しかし、木兎には関係ない事。

「早く告れよ木兎」

「別にそー言う好きじゃねーよ！ふつーに赤葦みたいに大切な後輩だ！」

木兎が彼氏なら話は別だが。
誰が見ても、木兎はAが好きなのだろうと感じている。
けれどもそうではないらしい。
それが本当なのか嘘なのか……。木兎曰く嘘らしいが、これでは話的に面白くない。
しかし人の感情と言うものは、時に分からなくなる。
木兎にもそんな日が来るのだろうか。

「どーだかな～」

「どー言う意味だ？」

「……さ、体育館行くか！待たせて悪いな赤葦」

「いえ。早く行きましょうか」

「あっ、おい！」

もう来ているのだろうか。