好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ22)

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22、合宿⑦ ページ22

「なぁなぁA～」

「さっきから何ですか？何でそんなにクネクネしてるんですか」

水着など関係ないのだろう。いつもの様にAに密着する木兎。
普段からの事なので、特にAも考えていないがとてもシュールな光景だ。
何せ二人、ただの先輩後輩関係だ。

「ナツミとはどんな感じなんだ？」

「ナツミって、夏目の事ですか？」

「そうだ。そいつだ」

何やらそわそわし出した木兎に、不意にも可愛いと思ってしまったA。
何故夏目の事を聞き始めたのかは不思議に思ったが、隠す必要もないので答える。

「最近は特に忙しいので、LIMEとかですかね。たまに電話とかしてますよ」

「……ふーん」

素直に答えると、木兎は不機嫌になる。Aとしては謎だ。

「え、何で怒ってるんですか？」

「怒ってな、……何でだろう」

「自分でも分かってないんですかw」

木兎ははっとした様に、Aと顔を見合わせる。
Aとしては笑うばかりだ。

「やっぱ木兎先輩っておかしいですよねw」

「なっ、おかしいって言うな！」

「じゃあ可愛いですねw」

「可愛いじゃなくてかっこいいがいい！」

「じゃあかっこいいですよ」

「……」

しばらく言い合いを続けていたが、Aの一言で大人しくなった。

「ま、まぁな！」

と言うか照れ始めた。
木兎が照れる何ぞ滅多にお目にかからないAは、母性本能が擽られたのか可愛いを連呼する。

「だから可愛いって言うな！！」

「でも可愛いですもん。しょーがないじゃないですか」

笑いながら木兎の頭を撫でるA。木兎はその行為自体嫌なのだろうと思うが、振り払いはしない。
どこかで嬉しいと思っている自分がいるからだ。

「A、もっと触って……」

「……木兎先輩、どーしたんですか、？」

「なし！今のなし！聞かなかった事にして！」

「いやいやいや、そんな事できませんよ。可愛すぎてキュン死します」

Aは自分の言葉に顔を真っ赤にする木兎の頭を、優しく何度も撫でるのであった。