好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ20)

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20、合宿⑤ ページ20

「A！A！まず何する？！」

「まず着替えて来ましょ？男子は向こうの更衣室で着替えるらしいですよ」

「分かった！じゃあまたここにしゅーごーな！」

「おっけーでーす」

何故木兎は自分と遊びたがるのかと考えるA。だが答えは一向に出てこない。
A的には、木兎といると色々と面倒が増えるので控えたい所だ。これは赤葦を見ていて思った事。

そんな事を考えながら、反対側の女子更衣室へ入ると、何やら部員達が怒っていた。

「えっと、……どうしました？」

「A先輩、遅いですよ！今、監督とコーチに異議を申し立てに行くんですよ！」

異議と聞いてポカンとするAに、伊織が付け足す。

「1日目は海中筋トレって聞いてたから、皆スク水しか持って来てないんですよ」

何の事かと思ったら、なんと水着の話だった。
Aは納得した様に頷くと、視線を泳がせる。

「……A。ビキニ持って来たのね」

そして岬に見事に言い当てられる。

「Aちゃんだけずるい！」

「不公平だ！」

「協調性がないな」

と、次々に反感を食らう。

「ちゃんとスク水も持って来ましたよ！ただ少し遊びたかったからビキニも～的なノリで持って来たら、本当に遊ぶって感じになったから……」

Aは自分のバッグから、ごそごそと2着の水着を取り出す。
一つは紺色のキャミ型ワンピース水着。もう一つは赤白ボーダーのホルターネックビキニ。

「スタイル良いからってそんな水着持って来て……」

「ふざけんなよお前」

「ちょ、皆してやめてくれます？！」

しばらくこんなやり取りを繰り返し、A以外のメンバーで大西に抗議する事になった。

「ビキニ着替えよー」

誰もいなくなった更衣室で、一人水着に着替えるのであった。