好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ19)

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19、合宿④ ページ19

女バレも無事到着し、3校は海沿いに集合した。
そこで大西が挨拶をする。

「責任者の大西です。梟谷女バレの監督してます。今回は岬の案で、合同合宿を計画してみました。思う存分楽しんでください。それでは各校の先生方、選手達、宜しくお願いします」

続いて各校の主将、副主将の自己紹介が入った。
梟谷と音駒は交流があるが、梟谷女バレと烏野は初対面だ。
だからと言って、烏野がA達を知らない訳がない。
何せ今年のインターハイ準優勝、春高常連校の強豪。
雑誌やテレビ、新聞でも多く取り上げられている。

「今日のメニューを発表しまーす」

その後、下山が紙を片手に口を開いた。
騒がしかった選手達は静かになる。

「皆に水着、持って来たって連絡したはずだよね？……遊んで来い」

思いもよらぬ発表に、一同沈黙が走る。
1日目は天気が良い為、海中筋トレだと聞かされていたからだ。

「夕飯まで帰って来ちゃダメだよ」

その沈黙を破るように再び下山が声を上げると、一斉にお祭りムードになった。

「よっしゃー！！！！」

各校の監督、コーチはこの事を知っていた為、ビーチボールなどを膨らませ始める。

「大西監督！海の家で何か食ってもいーの？！」

「好きにしなさい。……ただし、赤葦に聞いてからにしなさいよ」

興奮気味に尋ねる木兎に対し、大西は赤葦を巻き添いにして返答する。
近くにいた赤葦は、ギョッとした顔をする。
因みに今回の合宿、男バレの顧問は来ておらぬ。都合が合わないと言う事で、大西と下山が男バレも見る事になったのだ。

「おーいA～！遊ぼーぜ！！」

「私、女バレと遊びますよ？木兎先輩は赤葦にでも遊んでもらったらいいじゃないですか」

「ちょ、酷くない？！Aは俺と遊ぶの！先輩命令！」

「いいじゃないA。女バレ代表として、烏野との親睦を深めて来なさい」

「女バレ代表って、普通主将じゃ……」

「木兎を上手く出しに使うのよ」

全く話を聞いてくれない岬に参ったAは、隣でウキウキしている木兎の相手をしなければならなくなった。

「あ、Aが見てくれるなら俺は先輩達の所に行くから」

「え、待ってよ京ちゃん！」

「おう！あとで赤葦も遊ぼうな！」

「はいはい。……A、木兎さんを頼んだよ」

「ちょ、……分かりましたよ！！もう！！」

こうしてAは、木兎の世話係となったのであった。