悪ガキ連れた立花イトコ【摂津万里】 (ページ1)

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「お願いだから住まわせてよ！」

「駄目！一回家帰って叔父さんと叔母さんに説明してきなさい」

女の年齢は外見からするにいづみの一つか二つ下だろうか。

「……いづ姉、変わったね。昔はもっと優しかったのに」

とりあえず女を床に正座させ、何故か分からぬが双子はいづみの横に座る。
寮に居た劇団員達も何事かとリビングに集まる。

「いづ姉の為に買ってきたスパイスも台無しだ。カレーに合うと思ったんだけどな、」

すると女は静かに涙を流しながら話し出した。
スパイス、カレーという言葉に反応しているいづみだが、本人は気付いていないよう。

「いづ姉に実家に帰れだってさ。だから双子、お前達とはお別れだ。恨むならいづ姉じゃなくて私を恨め」

そう告げると声を上げて泣き出した。
涙は止まる事を知らず、鼻水だって洪水状態だ。

「おい豚女。Aを住まわせろ」

「なんなら豚女が出てけ」

「こら双子、いづ姉は私とそっくりだろ？だから豚だと私に失礼だ」

大泣きをしながらもしっかりと双子に突っ込みをいれるA。
双子はハッとしたのかすぐさま言い換えた。

「美人なお姉さん。Aを住まわせろ」

「なんなら美人なお姉さんが出てけ」

口は悪いがその姿は可愛らしく、いづみ含め劇団員まで惚れるほどだ。

「監督、一晩だけって駄目ですか？俺らの部屋でいいなら貸しますし」

「僕からもお願いできない？何か訳ありみたいだしね」

男は女の涙には弱いとはこの事だろう。
Aにティッシュを渡しながら、次々に劇団員はいづみに尋ね始めた。