31 ページ31
翌日の朝四時半。
昨夜は遅くに就寝した為、まだ眠気が取れないA。
「あー勝己の借りるか」
そして自分の部屋にジャージを置き忘れた事に気付く。
爆豪のジャージを着ると、結構ぶかぶかであるが本人は満足気な表情。
ポケットには、緑谷から奪ったハンカチを折り畳んでしまった。
「勝己、奥さん行ってきます」
爆豪の部屋を出ると、一階の洗面所を目指す。
顔を洗い、歯を磨き、髪を一つに束ねると、静かにA組の寮の扉を開ける。
「……なぁ奥さん。なんでAは俺じゃなくててめぇに話すんだよ」
Aが居なくなった部屋で、爆豪は昨晩のAのように尋ねる。
あの爆豪が壁に向かって奥さん呼びとは、誰一人知らないだろう。
「あいつに付き合ってた奴がいたのは知ってた。けどあの半分野郎だとは聞いてねぇ”！」
苛立ちが抑えられず、思わず手の平で火花を散らす。
「あの野郎のどこに惹かれたって言うんだよ。俺の方が数千倍も上だっつーの」
我が姉ながら、よく分からぬ趣味だと顔を顰める。
「……どうしたんだよ、A」
だがそれよりも肝心な事がある。
何故涙を流したのか。何故何も話そうとはしないのか。
いくら互いにブラコン、シスコンで合っても秘密くらい存在する。
しかしあのA。基本的にはオープンな性格だ。
「あ、キング先生おはよーございます」
「最近ここのコースを通るのが多いな」
「景色がお気に入りなんです」
雄英の敷地内はとても広い為、ランニングコースは色とりどりだ。
最近は、毎朝ここでブラドキングと顔を合わせる事が多い。
「ジャージを買ったらどうだ？伸びてサイズがあってないだろ」
「これ勝己のなんですよ」
「転んだら危ないから自分のを着るように」
「了解でーす」
ブラドキングも早朝のランニングは日課である。
二人で十分程度走ると、道が二手に別れている。
そこをAは左、ブラドキングは右に曲がり、また各自に戻るのだ。
「汗拭きタオルも忘れた。あとで勝己の使お」
一時間ランニングをすると、またA組の寮へ向かう。
「あ、バスタオルもだ。勝己の使お」
一度自分の部屋に帰り、支度を済ませればいいものの、爆豪の部屋のドアを開ける。
「ただいまー」
まだ5時半過ぎの為、爆豪はベッドに横になっている。
床に脱ぎ散らかしたパジャマと、爆豪のクローゼットから汗拭きタオル、バスタオルを取り出すとA組の風呂場を目指した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 414人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もやし(プロフ) - おまめさん» ありがとございます！！ (2022年5月12日 22時) (
レス) id: c45771c01d (このIDを非表示/違反報告)
おまめ - めっっっっちゃオモロイ!!! (2022年5月12日 20時) (レス) @page40 id: 04b57ecb94 (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 桧さん» ありがとうございます！これからも精一杯書いていくので、よければ読んでみてください！ (2021年8月20日 17時) (レス) id: c45771c01d (このIDを非表示/違反報告)
桧 - なぁにがあったんだろぉーなぁ？？？ (2021年8月17日 14時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
桧 - めちゃこれ好きです。 (2021年8月17日 14時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もやし | 作成日時：2021年5月13日 22時
