音駒で遊ぶか！【孤爪研磨】 (ページ2)

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1ヶ月に一度の席替えの日。
それはもう、クラスは大盛り上がり。
高校2年にもなって、この盛り上がり様。恥ずかしくはないのか。
孤爪は窓側の一番後ろの席で、呆れた様に溜め息をつく。

「林ちゃん！クジ早く！」

だがAは、担任兼顧問の林をせかす。

「分かったから立ち上がるな」

林はまだ若い女性教師だが、上手くクラスにも溶け込めている。
Aを一時落ち着かせると、順にクジを引かせた。

「教卓の真ん前なんだけど！どういう事？！」

「恨むなら自分のクジ運を恨めw」

「Aは、何番だった？」

数名の女子がAを囲むと、Aは自慢気に先程引いたクジを見せた。

「窓側やん！しかも後ろから2番目！教卓真ん前と交換しろや！！」

そんな友人は他所に、さっさと荷物をまとめると新たな席へ向かう。
それぞれが席を移動している中、一人だけ席を立たぬ者がいた。

「孤爪君、だよね？ウチ前の席だから宜しくね！」
「……宜しく」

あまり性格が似つかない二人にとって、この会話は初めてのものだった。
随分と無愛想な孤爪に、Aは関わりにくいと感じたのか、それからは声をかけなかった。