怖くて優しいあの人と。② (ページ6)

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「…圭太さん、」

「ん？何？」

圭太さんにぐいっと近寄って、キスをした。

私からキスするのは、初めて。

圭太さんが生きてるってことをもっと実感したくて、どうしようもなくキスしたくなって。

気がついたら、身体が勝手に動いてた。

唇を離すと、圭太さんは少し驚いたような表情をしていた。

「…どうしたん、？」

「……圭太さんが生きてるってことを、もっと…ちゃんと、実感したくて…」

そう言うと、いきなりぎゅっと抱きしめられた。

「…不安にさせてごめん。でも、Aのこと絶対1人にはせぇへんから」

「絶対、ですか…？」

「うん、絶対」

その目はいつかのように真っ直ぐに、私を見据えていた。

今まで圭太さんと過ごしてきて、圭太さんはそんな嘘をつくような人じゃないってわかってる。

…だから、きっと大丈夫。

「…圭太さんのこと、信じてます。だから、絶対に生きて帰ってきてくださいね！」

ヤクザの人に、こんなことを言うのは無理なお願いかもしれない。

常に危険が隣り合わせというか…いつ何があるかわからない仕事だから。

でも、これだけはどうしてもお願いしたい。

「…了解、」

圭太さんはきゅっと目を細めて笑うと、私の右手の甲にキスをした。

…なんだかお姫様になったみたい。

恥ずかしいような、でも嬉しいような。