怖くて優しいあの人と。② (ページ5)

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「…あの。昨日、何があったのか…聞いてもいいですか」

あんまり聞いてはいけないような気もしたけど、やっぱり気になってしまう。

「……昨日は、まぁ…言うたらうちの組と敵対関係にある組が、うちのシマを荒らしよったから…ちょっと落とし前つけに行ってん」

シマ…落とし前…

任侠映画とかでしか聞いたことがない単語だ…

教えてもらってあれだけど、ちょっとよくわからん。

縄張りを荒らされたから、謝らせた…みたいな？

多分、ていうか絶対そんな可愛いもんじゃない。

大怪我してるもん…！

「…まぁ、そんな大したことじゃないから気にせんで大丈夫やで」

黙ったままの私を見かねてか、圭太さんがそう言った。

私にとっては十分大したことだと思うけど…。

「……こういうこと、よくあるんですか？」

「最近はそんなにやな…たまにあるぐらい」

圭太さんとお付き合いすることになって、こういうことはある程度覚悟してたつもり。

でも、心配なのは心配だし。

昨日のよりもっと大規模な事件が、この先あるかもしれない。

それこそ、ニュースになるような。

そんなの…想像するだけで、不安で押し潰されそう。