怖くて優しいあの人と。② (ページ21)

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「A？」

後ろから、聞き慣れた声が聞こえた。

後ろを振り向くと、なんだか不機嫌そうな圭太さんがいた。

「圭太！？え、いつからいたの！？」

と驚く宗さん。

私も気づかなかった…

「今さっき来たところやけど。で、何話してたん？2人初めましてやんな？」

ズカズカとこっちに近づいてきたかと思えば、ガッチリと肩を抱かれた。

大好きな圭太さんの匂いが、ふわりと香る。

「そうそう、さっき偶然見かけてさ。ずっと会ってみたかったんだよねーって話を、ね？」

ほとんど圭太さんの話をしていたような気もするけど…。

とりあえず、宗さんに会わせてうんうんと頷いておいた。

「ふーん………そういえばA、どっか出かけるん？」

「あ、ちょっと買い物に…」

危ない、家を出た本来の目的を忘れるところだった…。

「俺も一緒に行くわ」

「え、でも圭太さん今帰ってきたばっかりで疲れてません…？」

「全然疲れてへんし、大丈夫。今日は思ったより早く終わったし」

「じゃあ…お願いします」

最近は予定が噛み合わなくて2人で出かけることもなかったし。

せっかくだから一緒に来てもらおう。

「うん、じゃあ宗ちゃんまた明日」

「おー、また明日な」

宗ちゃんって呼んでるんだ…かわいいな。

なんて思いながら宗さんにぺこりと会釈すると、笑顔でグッと親指を立てられた。

…どういう意味だろう。