怖くて優しいあの人と。② (ページ16)

今日:215 hit、昨日:636 hit、合計:34,805 hit

16 ページ16

あの後もしばらく甘い時間が続いて朝から心臓がやばかったけど、おかげで目が覚めた。

顔を洗って、朝ごはんを食べて。

今日は、私はバイトで圭太さんもお仕事。

お互いに午前中から出かけなきゃいけないから、忙しく準備を進めている。

「A、準備できた？」

「はい！できました」

「じゃあ一緒に行こ。送ってくわ」

「いいんですか…？」

「うん、ついでやし」

というのも、私のバイト先と中嶋組の事務所は結構近いらしい。

圭太さんから聞くまで、全然知らなかったけど…

まぁ、ついでならせっかくだし送ってもらっちゃお。

「すみません、ありがとうございます…！」

「全然ええよ。それより今日の夜楽しみやわ」

「あんまり期待しないでくださいね…？素人ですし、」

今日の夜…というかこれからしばらくの間は、私がご飯を作ることになった。

何年も一人暮らしをしているから、それなりに料理はできると思う。

でも、人に振る舞うことなんてなかったから…ちょっと不安。

「Aが作ってくれるってだけで嬉しいもん」

そう言ってニコニコと笑う圭太さん。

圭太さんがそう言ってくれてるんだから、美味しく作れるように頑張らなきゃ。

そうこうしている間に、バイト先に到着。

「じゃあ、バイト頑張ってな」

「はい！ありがとうございます」

そう言って車を降りようとすると、

「…あ、A。ちょっとこっち向いて」

と呼び止められた。

なんですか？と圭太さんの方を振り向いた瞬間、キスをされた。

唇が触れていたのは多分ほんの一瞬のはずなのに、やけに長く感じた。

「…ん、いってらっしゃい」

「〜〜っ！いってきます！！圭太さんもいってらっしゃい！！」

恥ずかしくて、その場から逃げるようにして立ち去った。

…はぁ、顔あっつい。

これからバイトなのに…仕事、集中できるかな。