第8話 ページ8
ぷつんっと、私の中で何かが切れた。
そこから数分間の記憶がない。
気が付けば私は日輪刀を持っていて、その日輪刀は赤に染まっていた。
少し目線を移動させるとそこにはボロボロになったみんながいて。
これは私がやったのかと理解するのに時間はあまりかからなかった。
「まさか、Aが手を出すとはねぇ」
「童磨様」
「どう?友人を自分の手で傷つけた感想は」
「…綺麗だなって思います」
「!」
「だってほら、こんなに血まみれになってるのにまだ生きてる。必死に生きようとしている。
生への執着がこんなに美しいものだったなんて…!」
「…Aは鬼殺隊より、鬼になる才能のほうがあるんじゃないかな?」
「本当ですか?童磨様がそう仰るのなら、そうなんでしょうね」
「Aも鬼になるかい?そうすればずっと俺と一緒に居られるよ」
「ふふ、いいですね。考えておきます」
「じゃあ、そろそろ行こうか」
そう言って童磨様はまだ息のある炭治郎たちに止めを刺そうとした。
「あ、待ってください童磨様。この人たちはまだ生かしておいてもらえませんか?」
「それは別にいいけど…どうして?」
「みんなの息の根は私が止めたいんです。鬼として。……友達、ですから」
狂ってる。
私の中にいる誰かがそう言ったような気がした。
そうだよ、私はまともじゃない。
そんなこと、この世に生まれてきた時からわかっていたはずじゃない。
満月がとても綺麗な夜、私は人間を辞めた。
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作者名:みゆう | 作成日時:2020年6月23日 23時