第1話 ページ1
私は鬼殺隊員だ。
毎日毎日、鬼の頸を斬り続ける日々。
でも、鬼殺隊だからといって鬼に恨みがあったりするわけではない。
両親に殺されかけた私を引き取った人がたまたま育手だっただけだ。
鬼殺隊に入ったことも、今ここで生きていることすら私が望んだことではない。
私には何もないんだ。
希望も、絶望も、感情も。
光のない目に映る景色の色もないし、ご飯を食べても味を感じない。
いわゆる欠陥品なのだ。
もし鬼殺隊に入っていなかったら本当にただのゴミになっていた。
そんな欠陥人間の私にも友人はいる。
それは同期の炭治郎、善逸、伊之助、そして禰豆子ちゃんの四人だ。
この人たちと居るときは少しだけ世界が色づく。
でも、満たされはしない。心の穴は塞がらないままだ。
まず、心があるのかも怪しいが。
そろそろ強い鬼が私を殺してくれないだろうか。
もう飽きた。疲れた。このつまらない人生に。
ああ、いっそのこと腰にある日輪刀で自ら自分の首を斬ってしまおうか。
上手く斬れるかな。中途半端に斬ってしまって生き残るのだけは避けたいなぁ。
そんなことを考えていた私の顔はまるで死んだ魚のようになっていたのだろう。
「お姉さん、とても不幸そうな顔をしているね。万世極楽教の教祖様に相談してみないか?きっと幸せになれるよ」
じゃないと、こんないかにも怪しい宗教に勧誘されるはずがない。
そして私の頭もおかしくなっていた。
「…はい、行きます」
もしかしたら私の生きる理由になってくれるかもしれない。
そんなことを考えてしまったのだ。
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作者名:みゆう | 作成日時:2020年6月23日 23時