第6話 ページ6
炭治郎side
任務の帰り、Aさんに会った。
また禰豆子を狙いに来たのかと思えば、話をしたいと言う。
この前のような殺気は感じず、むしろ悲しい匂いが強くなっていて。
なんとなく、ついていっても大丈夫だと思ったんだ。
甘味処へついてAさんがしたことは俺と禰豆子への謝罪だった。
正直、驚いた。
柱であるAさんが頭を下げるなんて。
「あ、頭を上げてください!」
俺が慌ててそう言うと、少し俯きながらも椅子に座りなおすAさん。
「あの時のことを俺は許す気はないです。…禰豆子は、俺のたった一人の家族なので」
「…ごめんなさい」
数日前に禰豆子の命を狙ってきた時のような強気なAさんはそこにいなかった。
こう言ったら失礼かもしれないけど、まるで別人のようだ。
「でも、罰を与える気もないです。…強いて言うなら、あんなにしつこく禰豆子を狙ってきた理由を教えてください」
「それは、」
「鬼だから、っていう理由だけじゃないですよね?あの時のAさんからはとても強い悲しみの匂いと恨んでいるような匂いがしました。それに、しのぶさんに言っていたことも気になります」
「………」
「教えてください。心から、禰豆子に謝る気があるのなら」
「…長く、なっちゃうよ?」
「大丈夫です」
Aさんはしばらく俯いたまま黙っていたが、ある時ふっと頭を上げた。
「…昔話を、しようか」
とても悲しそうな、でも美しいとも感じられる笑みでAさんは話始めた。
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作者名:みゆう | 作成日時:2020年8月16日 6時