今日も隣のメガネと！【◇】 (ページ2)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:14,459 hit

期待と重圧は紙一重ページ2

初めまして、こんにちは。AAです。
青道高校野球部の美人マネージャーやってます。花粉飛び交う春休みの最中でも真摯に練習に励む選手の皆々様には、ほーんと頭が上がりま…

｢ﾌﾞｴｯｸｼｭﾝ…!｣

｢汚ェ！｣

｢うるせぇ！こちとら花粉症なんですぅー！｣

花粉症の辛さを未だ知らない小童をひと睨みしつつマスクの位置を直す。
呼吸すらままならない美人マネージャに当たりがキツすぎないかね、君。

｢はっはっはっ。今年はあの面白メガネ、つけないのかよ｣

そんな不届き者の一言で去年のあんな記憶やこんな記憶が蘇り、当時の怒りがふつふつと再燃してきた。
第一あれは面白メガネではなく花粉から私の目を護ってくれるジャスティス★メガネなのであって…

｢去年はよくもジャスティス★メガネをコケにしてくれたなぁ、御幸一也ぁ！｣

そう。この小童、名を御幸一也と言う。
超高校級キャッチャーの名を欲しいままにするこの男は何を隠そう、私の宿敵である。ここに誓おう、コイツだけは刺し違えても私が葬る。

｢ごめんごめん、反省してるって。｣

｢笑いながら言われても説得力皆無ですけどぉ？！｣

｢ごめんな♡｣

厚○りジェイソンもかくやのポーズと共に抗議して見せるも、反省の色は皆無な御幸一也に私はひとつ裁定を下す。

…よろしい、お望み通り今日がお前のデッド・デイだ。

御幸一也に手ずから正義の制裁を加えようとしたその時、背後で金属バットからとは思えないほど重厚な音が響き渡る。

｢コラァピッチャー！何じゃその腑抜けた球は！俺をナメてんのか！？｣

それから間もなくしてグラウンド一面にドスの効いた怒声が響き、私は肩を竦めた。

｢ひぇ…東さんお怒りじゃないですか。｣

今年のドラフト候補生、つまり我が校屈指のスラッガーたる東清国先輩。その怒りの矛先が向いているバッティングピッチャー、ノリこと川上憲史氏に心底同情した。

｢東さんはノリを気に入ってるからな。ま、やり過ぎだけど。｣

一也の言葉に激しく首肯する。

｢野球部の数少ない良心を潰されたら困る…｣

何を隠そう、ノリは美人マネージャAを丁重に扱ってくれる数少ない部員の1人。嫌だなぁ、押しの強さに引いてるんじゃ？とかそんな無粋なこと言わないでくださいよ。

｢ノリは気が弱い所があるから歯痒いんだろうけどな。｣

それで潰れちゃったら元も子も無いでしょ。
私の呟きは、東さんが再びバットを振り抜く音に掻き消された。